おくればせながら不当逮捕について

さて、前回の日記『ベンサムの予定調和説』をアップしたあと、いまいちアクセス数が少ないので、できるだけおおくの人に前回の日記よませようと、先週はあえて更新しませんでした(体調がわるかったこともあるけど。ゴーオンジャー仮面ライダーキバはみたでしょうか?よんでからのお楽しみ)。

未読の方はどうぞ。前回の日記『ベンサムの予定調和説』
http://blogs.yahoo.co.jp/wandaba_station/57206697.html

で、この間、麻生首相の自宅を訪問するというデモをおこなった人たちが不当逮捕されたという事件がありました。フリーター問題についていままで力をいれてきた本サイトとしては、この問題に触れないわけにはいかないでしょう。

しかし、この不当逮捕については情報がおもったより少なく、情報が錯綜していいる部分もおおく、筆者としては判断を一時保留にせざるを得なかった部分もあります。なので、少々時期がおくれてしまいました(ホントは『レオ1974』についてよりこっちを先にかくべきなんでしょうけど。)。

実は、この麻生首相のお宅訪問(リアリティーツアー)の前に「反貧困世直しイッキ大集会」というイベントがあったそうですが、このときにデモ隊が「官僚をぶっ殺せ」と叫んでいたといううわさを某所で聞いていたので、ひょっとすると麻生首相のお宅訪問のときも、デモ隊がこの手のことを叫んじゃったのかとおもってたんですね。で、逮捕直前にデモ隊がどういうことをやっていたのかについて、ネットでいろいろ調べたんですが、いまいち情報がすくなくてわかりませんでした。

この不当逮捕について敏感に反応しそうな赤木智弘もブログで、今回の不当逮捕について、おもったより冷静なコメントをブログで言っているので、筆者としても「7、8割赤木氏と同意見かなあ」ともおもっていたのです。

しかし、ユーチューブでアップされている逮捕の瞬間の画像とか、そのあとの雨宮処凛の「マガジン9条雨宮処凛がゆく!」でのコメントを読んでいると、とくにデモ隊が過激な主張をしていたとか、そういうことはなかったようですね(筆者としてはそう信じたい!)。そうなると、やはり今回の不当逮捕は、こういうフリーター解放運動を、小さな火種のうちにつぶそうという、警察側の思惑をかんじます。やはり、政治運動に対する一種の弾圧なんでしょう。

筆者は、不当逮捕の期間についても、ちょっと長すぎるとおもいますねえ。11日間は長いでしょう。最初筆者は「せいぜい2、3日で釈放だろう」とおもってたんですが、おもったより長い逮捕で、これもおどろきました。

この不当逮捕で筆者がなによりほっとしたのは、逮捕されてから、各界の著名人や知識人たちが、続々と逮捕についての抗議声明をよせていたことですねえ。そもそも非正規雇用問題とか格差問題というのが、社会問題として認知すらされていなかった数年前にくらべれば、状況は確実に前進しているとおもいますよ。ホントはここで安心しちゃだめなんでしょうけどね。
まさに「本番はこれから」というところで、これから構造改革でゆがめられた現行の労働法を見直し、本格的に非正規雇用者を保護する法律をつくるなどの「本来の改革」を行わなければならないんですから。

おもえば、数年前「フリーターは自分から進んでフリーターになっているのであり、そういう若者がおおいから不景気になった」などという偽情報をマスコミが垂れ流していた時期、筆者がある労働組合に「マスコミにかけあってくれ」とお願いしてもちゃんと取り合ってくれなかったあのころに比べると、今は確実に幾分か精神的な面においては「生きやすく」なっていると実感しますね。やはり世間に社会問題として認知されているかどうかで、精神的な面では大部違います。

先の「反貧困世直しイッキ大集会」というイベントにしても、オウム事件の直後では、こんなイベントがマスコミで好意的に取り上げられること自体がありえなかったですからねえ。こういう「世の中をかえよう」というようなことをちょっとでもいえば、即「オウム的」とかいわれて袋叩きだったのが90年代の日本でしたからねえ。

しかし、不当逮捕に抗議声明をだした著名人のなかには、一部嫌なことをいっている人がいますねえ。雨宮処凛のブログに掲載された抗議声明のなかには、またも「愛する人だけ守りましょう」的なことをいっている人がいて、こういうのが引っかかってしまった(1人だけこういう人がいることで目くじらたてるのもどうかとおもいますが)。

この件については、前回の『ベンサムの予定調和説』とも関連するので念を押します。市民が、自分と自分の愛するものの利益しか考えないで選挙に投票するとなると、大方の市民たちは今トヨタなどの工場で働いている過酷な状況下にいる派遣労働者と、なんの人間関係もない人たちなわけだから、彼らのことは無視して投票することになるでしょう。それでは、そういう不遇な派遣労働者たちの苦境は改善されないのです。

そういう派遣労働者にきちんとした賃金を払い失業保険もつけるなどして、生活を保障することによって、自動車や家電製品が全体的に割高になることもありえます。
なので、「自分と自分の愛するものの利益」だけ考えて選挙にいく人たちは、「工場の派遣労働者のことをかんがえてたら、愛する人とマイカーでドライブできなくなる」などと考えて新自由主義(資本主義)的な政策を掲げる政党へ投票してしまうのは必至です。なので、不遇な派遣労働者たちの苦境は改善するためには「自分と自分の愛するものの利益」だけ考えてはいけないのです。

そういえば、今このブログの履歴をみたら、なんとジャーナリストの堤未果さんのブログの足跡がついていてびっくりでしたね(ありがとうございます)。こういうこともネットならではですね。

補足:資本主義と社会主義の折衷的な「福祉国家」の成功例であるデンマークは、は雇用政策が進んでいて、ニート・フリーター問題の解決のヒントがあると思えます。デンマークの雇用政策にくわしく知りたい方は以下の日記をどうぞ。
『現実的な社会変革』(過去の記事です)
http://blogs.yahoo.co.jp/wandaba_station/55262715.html