地下潜伏計画?

さて、いままで気になっていたことで、あえて書かなかったんですが、『Yahoo!ニュース』の教育基本法改正問題のトピックス
http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/domestic/fundamental_law_of_education/
があるのですが、ここの山陰中央新報の2006年12月19日の社説『教育基本法改正の深層心理』という文章は、リベラリズムへの誤解にみちた文章で、大変問題のある内容だとおもいますねえ。
http://www.sanin-chuo.co.jp/column/modules/news/article.php?storyid=335625034

この文章は一読すると、あきらかにリベラリズムリバタリアニズムを間違えている文章であって、リベラリズムへの誤解を社会に定着させてしまう危険性があるという点では大変問題があるとおもいます。
しかし、この文章を、なぜかYahoo!ニュースのトピックスのコーナーでは、去年の暮れからずーっとずーっとリンクを張りっぱなしで、「コラム」という項ではこのおかしな文章が一番上にきたまま、いつまでも放置されているので、かなり長期にわたってリンクされている以上、かなり多くの人が読んだ可能性があり、ますます問題があるとおもいます。

そして、このYahoo!ニュースの教育基本法改正問題のトピックスでは、つい先日まで、『教育基本法:“改正”問題契機に、「公と個」考える--上京で集会 /京都』という毎日新聞の記事がリンクされていました。
この記事は、以前このサイトでも取り上げましたが、教育基本法の改悪を批判する集会なのですが、そのうえで、「公とは(権力ではなく)主権者である個人の集まり。一人一人を尊重しよう」と、封建主義的価値観とは違う「公」の重要性について説いた集会だったもので、個人主義を左翼と間違えているマスコミの論調を見直そうという内容で大変評価できるものなのですが、なぜか、今はYahoo!ニュースの教育基本法改正問題のトピックスから削除されています。もとのYahoo!ニュースの記事そのものが削除されていました。

それ以前の記事は削除されていないのに、なぜかこの記事のみ、リンクも、もとの記事も削除されていました。さらに驚くべきことに、大もとの毎日新聞社のHPからもこの記事は削除されています。これは、この集会がいままでの自分たちのミスリードを暴くような内容のものなので、記事を削除してマスコミ側がごまかそうとしているようにおもえます。

こうやって、ますます、今回の教育基本法改悪の問題により、日本社会には個人主義が絶対的な価値観として定着していくのでしょうか。
筆者がここで何人かの知識人たちの発言と引用しながらいっている「公共という概念をナショナリズムから切りはなした国際的な公共意識」というものを、なぜか国内マスコミは認めようとしない。国連の世界人権宣言の29条にも同様の記述があるのに、なぜかこの事実をマスコミは一切触れないようにして誤魔化しつづけているのは問題がありすぎではないか。

今の自民党は、某写真週刊誌によると本当に社会保険庁の民営化をすすめているので、こういうことに歯止めをかけ、さらには国粋主義からも脱却するには「公共という概念をナショナリズムから切りはなして考える」以外にはありません。

『60年代アメリカ 希望と怒りの日々』(彩流社)の566ページによると、ベトナム反戦運動を行った反体制組織「ウェザーマン(ウェザーアンダーグラウンド)」たちは、「男性優位主義、個人主義、競争」を「粉砕」さるべき「忌まわしい内なる豚」として批判し「豚を粉砕するとはわれわれの内なる豚を粉砕することに他ならない。われわれ自身のヘナチョコを克服しなければならないのだ。」といっていたそうです(566ページ)。

『アシッド・ドリームズ』の296ページによると、ウェザーマンたちは資本主義に傾倒したアメリカ白人たちを「金まみれの白ん坊の豚ども」といって批判しています。上記の「男性優位主義、個人主義、競争」を「忌まわしい内なる豚」として批判したというのは、ウェザーマンのメンバーの多くが白人であり、その自分たちの心のなかに男性優位主義や個人主義や競争といった価値観が芽生えることを、自ら忌まわしく思い、それをなんとか防ごうと葛藤していたのです。

ウェザーマンの格好は『アシッド・ドリームズ』によると「ある者は、ヘッド・バンド、ビーズの首飾り、そしてケープといったヒッピーの正装を身にまとい、ある者は革ジャンにチェーンといういでたちだった(297ページ)そうです。
このウェザーマンが活躍した時期というのは、すでに新左翼がヒッピー文化の影響を受け始めていた頃だっために、ウェザーマンにヒッピーの格好をした者がいたのですが、今の日本国内では、みんなこの手の格好をする人間たちは「個人主義が左翼だ」というマスコミのミスリードを妄信している人たちなので、服装は同じでも思想的な方向はウェザーマンとは正反対という感じで変な感じですねえ。

こんな状態じゃあ、ますます筆者はウェザーマンと同様に地下にもぐるしかないでしょうねえ。