そういえば、昨日のボウケンジャー雑感

さて、昨日のボウケンジャーは、もう小林靖子による本サイトへの仕返しという感じでみていて嫌な作品でしたね。これからは小林脚本回は飛ばしてみようかなあ。

小林靖子は以前の雑誌のインタビューで「正義というのはよくわからないから、好きな人だけを守るというのがいい」などと発言していました。が、筆者からすれば「好きな人だけを守る」というのは利己主義、個人主義であって、それこそがアメリカ資本主義に通じる考えなので、このサイトで、そういう価値観をずっと批判していたのです(そういう価値観は小林氏だけではなくメインカルチャーの側の人間が90年代から最近までよく口にするものですが)

しかし、昨日のボウケンジャーは、いままで利他主義を「正義」だといっていた小林氏が急に手のひらをかえし、なぜか利他主義を「正しいこと」とは別の価値観ということにしており、そのうえで「大事なのは正しさだけではない」という台詞をテーマとして強調していた。
この台詞も、おそらく最初の脚本では「正しさより大事なことがある」とかそんな台詞だったんじゃないかなあ。それをなんとかプロデューサー(やはり日笠淳か)が調整してああいう台詞に落ち着いたんではないでしょうか。

前々回の日記でも書いたが、ベトナム戦争軍産複合体やマフィアが利益をえるための戦争であって、いわば国家ぐるみの不正行為のようなものなのに、それでもまだ「正しいことはよくない」みたいなテーマばかり言いたがるのはどういうことでしょうかねえ。

また2ちゃんねるかなにかで評判がわるかったことを気にして、アバレンジャー終盤みたいな思想転向をしようとしているんでしょうかボウケンジャーは(あるていど予測した事態ではあったが)。なぜか5週も連続で会川昇がはずされているし(そのうえで何故か小林氏が3本もかくらしい)もう再来週の荒川脚本の回がだめならこの番組は見限ろう(監督があの人だから現場でいじって、またさらなる報復をはじめるのか)。

CGなどの技術的が発達しても、こういうテーマ的な部分がだめなら見る気が起こりませんからねえ。2ちゃんねるというのは、以前、中央公論東浩紀がいっていた「サイバーリバタリアニズム」を体現しているものなんではないでしょうかねえ。ネット上にいる「痛いやつ」を数の論理で徹底的にこきおろしさらし者にする2ちゃんの性質というのは、無制限な自由というものが弱者の自由を奪うというリバタリアニズムの価値観を体現したものでしょう。

2ちゃんはどういうわけか平成ライダーみたいな個人主義的な価値観を説いている作品ばっかりやたらにほめるし。2ちゃんの不気味なところは、国内のサイトなのになぜかメインサーバーがアメリカにある(以前のAERA「さらば2ちゃんねる」という特集にのっていた)ということなんですよねえ(ネット環境をもっている市民に弱肉強食の競争原理をうえつけるための扇動装置なんではないでしょうかね)。

*ネットでもアップされています。「サイバーリバタリアニズムの限界」『中央公論』2002年11月号より
http://www.hajou.org/infoliberalism/5.html
*ついでにさらば2ちゃんねるの全文が載っているサイトも
http://f46.aaa.livedoor.jp/~fffhse/aera-2ch.html

そういえば、今日曽我町子さんが亡くなりました。ちょうど最近サンバルカンの最終巻のDVDみてたところだったんで奇遇という感じでびっくりしましたね。宇宙刑事のゲームが遺作かあ…ご冥福をお祈りします。