ウルトラマンメビウス1話雑感

さて、とうとうはじまりました『ウルトラマンメビウス』!!
1話をみおわったときは、感慨ひとしお(大げさか)でしたね。なんかほんとに「ウルトラの新作がはじまった」という感じに心底ひたれる作品でした。

ドラマ的にも、けっこう凝ってて、怪獣を倒したあとにもドラマが続行するという構成がよかった。メビウスが出たときケ-タイのカメラで撮っているという市民のリアクションが今風でいい。
特撮は、市街地のセットの飾りこみが細かくてよかった。多少俯瞰気味のアングルもおおかったのですが、照明を工夫することや画面にモヤをかけたりすることで、結構リアルに見せているのはうまい。縦構図のアングルがおおくて、足ナメアングル(!)もあったりして、奥行きのある特撮だったとおもいます。宇宙空間で曵光弾をつかうのは、ちょっと古いんじゃないかとおもいましたが、わざと昔なつかしいノリを狙ったのかな? 

冒頭のウルトラファミリー総登場のウルトラの国?のカットはそのままオープニングにもつかっていますが、イメージシーンぽくて、けっこうオシャレな映像でした。いかにも90年代以降の円谷のスタッフらしい、ちょっとCM映像的な感覚でかっこよく仕上がっていました。ウルトラの国の地上の景色がでるときは、どんなイメージになるんでしょう? 個人的には、タロウで出てきたウルトラの国の地面の白い砂とか空のオーロラ(今ならCGなどでより美しくできるはず)という部分は生かしてほしいですねえ。

第二期ウルトラが出版マスコミや業界の大御所といわれる作家たちに批判されなかったら、25年前にこういうウルトラがみれたんじゃないでしょうか。そんな「大御所」といわれる作家の一人が、また妙なことをやってしまった。
日本テレビ女王の教室」が、どういうわけか第24回向田邦子賞を受賞し、その選考委員には市川森一もいたんだそうです。
女王の教室」といえば、子供に競争原理を叩き込む鬼教師が主人公で、まさに市場原理主義を称揚する御用番組という感じなのですが、こういう作品に賞をあげちゃう市川氏は、やはり「カルヴァン派プロテスタント」的な価値観をもったクリスチャンだったということなんでしょうか。市川氏こそ「高度管理社会(市場原理主義)」の「管理者」たる御用ライターだったのではないでしょうか?

『アシッド・ドリーム』(第三書院)によれば、ドラッグカルチャーの高僧といわれるティモシー・リアリーLSD解禁の運動を始めた狙いは「サイケデリック・ドラッグを使って膨大なアメリカ青年層に労働倫理の束縛からみずからをきりはなすようにしむけることだった。そして正気のさたとは思えないはげしい競争社会こそほんものの「麻薬的逃避」の常習者であり、LSDの助けを大いに活用してその社会からドロップアウト、みずからを「消毒」すれば新たな調和を手にいれることができる(123ページ)」ということにあります。
このように、ドラッグやロックといったカウンターカルチャーにおける「社会のルールへの反逆」は、資本主義社会の競争原理のことをさします。

競争原理を賞賛する「女王の教室」こそ、競争原理をたたきこみ高度管理社会に奉仕する人間を養成する御用番組といえるでしょう。それに賞をあげちゃう日本の脚本家文壇の上位カーストの人間たちは右翼的であり、そういう意味でまさに社会権力とよぶにふさわしい。「女王の教室」の作者である遊川和彦もこれはら要マークの御用ライターですねえ。

メビウスがネット局が少ないというのは、やはり業界的な圧力がかかったんでは?とおもえてならないんですよねえ。メビウスの真の敵は、こういう社会権力や高度管理社会(市場原理主義)そのものなんではないでしょうか。