高度管理社会とは?(「ドラえもん逮捕!」改題)

さて、ホリエモンこと堀江貴文が逮捕されました。堀江氏が不正取引に関与したかどうかは、本人が否定しているので、あえて筆者は追及しません。しかし、今回この事件で株式市場がパニックになっているというのは、拝金主義の日本社会のアキレス腱をを象徴しているとおもいます。

一時、週刊SPAなどの一部出版マスコミでは「貧乏な人は株をやればいいんだ」などと安易に株をすすめ、そのうえで「貧乏な人間は、株式投資をしないのがいけないから本人の責任だ」となどと安易に決め付け、貧乏人をバッシングしていたようにおもいます。しかし、今回のライブドアの事件での株式市場の混乱をみると、株をやれば必ず儲かるとはいえないわけで、それなのに貧乏な人を「自分が悪い」などとたたくというのはとんでもないいいがかりだといえないでしょうか。

そういえば『アシッド・ドリームズ CIA、LSD、ヒッピー革命』(第三書館)では、ヒッピーがサイケデリックな外見をしている理由について「じぶん(ヒッピー)たちは、まっとうな市民社会に対してある脅威を伝え、そしてこの拝金主義の消費社会にこんなかたちで抵抗を示しているのだ。(191ページ)」という記述があります。いわゆるヒッピー独特のいでたちというのは、実はそれ自体が拝金主義の社会への抵抗のポーズだったというのです。日本ではいわゆる日本型ヤッピーたちが、外見だけヒッピーをまねているということが非常におおく、そのため、そういうヒッピーたちの哲学までもが誤解されていたようです。

この本では、訳者の越智道雄のあとがきがあります。越智氏はよく資本主義社会の同義語として「高度管理社会」という言葉を用いますが、この「高度管理社会」というものが行う社会の管理の仕方が書いてあります。

「高度管理社会は、テレビその他のマスメディア、コンピュータ・システムなどのハイテクによって、一見私たちを物理的支配から解放したようにみせかけながら、間接的に私たちの意識を支配するのだ。だから私たちは、支配される意識すらないままに支配されてしまう。(394ページ)」

このように、越智氏もマスメディアの影響力が人間社会を管理するという部分を指摘しています。この部分は、筆者がこのサイトを立ち上げたときから、一貫して訴えていることです。
越智氏は、先の文ではテレビの影響を強調していましたが、エーリッヒ・フロムが『自由からの闘争』で指摘していたように、出版マスコミの影響力というのも相当に強いとおもいます。

前回の日記に書いたように、出版メディアなどで「高学歴、高収入の男性は魅力的」という流行をしかけてしまうと、これが市民の意識を支配しはじめ、やがて社会は拝金主義の過酷な競争社会に変質し、それはブッシュ政権イデオロギーと合致して、日本を対米追従へと導くのです。今の日本では、恋愛ブームが「高度管理社会」を絶対的なものにしているといえます。

マスメディアによって仕掛けられた恋愛ブームは「コミュニケーション能力のない人間はださい」という流行でもあるので、これによってコミュニケーションに支障をきたす神経症、精神病の人間は社会から追放されます。これも「高度管理社会」がおこなっている社会の「管理」の一つだといえます。

こういう高度管理社会を打破するには、やはり女性の恋愛感を変えるしか方法はないでしょう。それが行えるのも本当はマスメディアなのですが、マスメディア自体が企業体であり、企業体にとって拝金主義の社会というのは都合がいいので、そういう方向にマスメディアが動くかどうかは、かなり疑問なのが現状です。
(…ところで題名のドラえもんって一体?)