ジャスピオンがブラジルで大人気

f:id:wandaba2019:20210908153510j:plain

f:id:wandaba2019:20210908153433j:plain

前回の日記の補足です。前回の日記で、ブッシュ政権は「地球温暖化二酸化炭素は無関係」という主張をしていて、環境問題には消極的だということにふれましたが、それを裏付けるニュースを紹介します。

『サミットわずか数日、米国が温室効果ガス対策を見送りへ』7月12日10時47分配信 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/eco/news/20080712-OYT1T00286.htm?from=rss&ref=fln

こないだの洞爺湖サミットのテーマの中心は環境問題だったのですが、そこで温室効果ガスの半減に合意していたはずのブッシュ政権が、おわったとたんにそれを撤回したというのがこのニュースです。
このニュースは、まさにブッシュ政権の本音の部分がわかるものといえます。

さて、話は本題ですが、今でている東映ヒーローMAXでジャスピオンの特集がありましたが、この記事でも書かれているように、実はジャスピオンはブラジルでは誰もが知っているというぐらいに有名で人気があるそうです。

このことは、以前ウィキペディアのジャスピオンの項でも、ほんのちょこっと紹介されてましたが、ネットでいろいろ調べてみると、このブラジルのジャスピオンの人気というのは、想像以上にすごいもののようです。

あるブログによると、昨年発売された海外サッカーの雑誌「週刊footballista(フットボリスタ)」で、このブラジルでのジャスピオンの人気について掲載されていたそうです(2007/01/10発売号 (011) )。
http://www4.cds.ne.jp/~audrey/blog/index.cgi?mode=res&no=405

この記事によると、なんとジャスピオンは「ブラジルでは88年から91年までテレビ放映されて大ヒットし、95年にも再放送された。日本でよりもブラジルでの方がはるかに有名で、ブラジル人で知らない人はほぼ皆無。転じて、「日本生まれのヒーロー」という意味合いでも使われ、日本人と見るとこう呼びかけるブラジル人が少なくない。」とのことです。
*追記(2008/8/23)画像は、その記事の複写。巻頭の日系ブラジル人、ロドリコ・タバタのインタビューの記事(p6)のです。

上記のようにブラジルでは、「ジャスピオン」という言葉が「すごいことをした日本人」のことをさす「代名詞」のように現在でも使われているとのことです。
ジャスピオンという言葉が、「すごい日本人の代名詞」という形で、文化として定着しているぐらいなんですから、このブラジルのジャスピオンの人気というのは、フランスでのグレンダイザーに匹敵するぐらいなんじゃないでしょうか。

また、ユーチューブでジャスピオン関係の動画を検索すると、ブラジル発の動画が多数みつかります。驚きなのは、高校か大学の文化祭のような催し物で、ジャスピオン(変身後、変身前)やダイレオンやサタンゴースのコスプレをやっているブラジル人の動画がけっこうたくさんでてくることです(これでもまだ東映は「平成ライダー以前の東映の変身ヒーローは幼児しか楽しめないもの」とか言い張るでしょうか??)。

*参考 ユーチューブのジャスピオンのコスプレ関係をあつめました(さがすともっとあります)
http://jp.youtube.com/watch?v=o1celuhmEa0&feature=related
http://jp.youtube.com/watch?v=JhXUBhgHN7k&feature=related
http://jp.youtube.com/watch?v=2a5pBXmO6Sw&feature=related

本放送当時にかなりジャスピオンにはまっていた筆者ですら、ここまですごいとはおもわなかった。
国内でジャスピオンといえば、本放送中から「宇宙船」にパワー不足とかいわれて批判され、そのあとは国内のいわゆるサブカル系の批評家から、なにかもう「失敗作の代表」みたいにいわれて、それに感化されてか、番組にかかわったスタッフ(特にそういうライターたちと癒着しているらしい上原正三)まで今までよく言わなかった作品です。
ジャスピオンをけっこう気に入っていた筆者も、いままでずいぶん肩身の狭い思いをしましたが、上記のようにブラジルでは人気があるのです。それみたことかという感じですねえ。

筆者はこの日記や親サイトの『ワンダバステーション』で再三書いていますが、ブラジルと日本とでジャスピオンの評価が著しく異なるということも、「芸術作品の価値の相対性」を証明する証拠だとおもえます。
かつて1950年代にイギリスでポスト・モダニズムポップアートを確立させた若手の芸術家の集団インデペンデント・グループは「よい芸術といった絶対的価値はない。あくまである社会条件、あるパラダイムにおける相対的な価値でしかない。」という主張をしたのですが、この主張は、やはり事実だったということが、このジャスピオンのブラジルでのヒットによって、またも証明されたといえないでしょうか。

*参考『ワンダバステーション』内の論文
『「奥特曼」対「パワーレンジャー」』~日本特撮ヒーローの海外激闘史~』
http://www.geocities.jp/wandaba_station/kaigai.html
(この文章の『インディペンデント・グループ』について触れられている部分を参照)

こういうことがあっても、なぜか日本のメインのマスコミは、いまだに「海外で知られている国産のサブカル作品」というと、宮崎アニメとガンダム押井守だけしかとりあげないで、東映の70年代から90年代の作品はヒットしててもほとんど紹介しないというのはなんとかならないんでしょうか?(とくにガンダムなんて海外で大ヒットしたことないじゃないか。宮崎アニメも映画賞はとったけど海外で大ヒットはしていないはず)
 グレンダイザーがフランスで大ヒットしたことすら、いまだに国内マスコミでぜんぜん取り上げられないからほとんどの日本人がしらない。こういう情報操作をいつまでつづける気なんでしょうか!!??

情報操作といえば、国内のマスコミが、いまだにデンマークスウェーデンといった北欧の福祉国家の成功について、目立つように大きく取り上げないのもおかしい。こないだ朝日新聞で中の方のページで大きく見開きで取り上げていたけど、ああいう中のほうのページでは、ほとんどの人がちゃんと読みませんよ。
(ジャスピオンやグレンダイザーの問題よりも、まずはこの問題が一番重大だ)。

ただ取り上げるだけではなくで、そういう福祉国家というのが、かつての共産主義の代替物であって、そのうえでアメリカのリベラル派というのは、基本的に福祉国家を志向するスタンスであるということも、わかりやすく書かなきゃだめですよ。このことを国内マスコミが報じないため、ほとんどの日本人が知らないというのは、ちょっと犯罪的な異常事態だとおもえますよ。

それでもって、いまだに「社会主義は失敗したから、現代は60年代や70年代のような希望はない」とかいっている論客がマスコミでウヨウヨしているんだから、いったいどうなっているんだろうか(雨宮処凛とか佐藤優まで、こないだの『中央公論』での秋葉原事件についての対談で、そういう類のこといってるんだからどうなっているんだろう??)。

北欧の福祉国家は旧ソビエトとか北朝鮮みたいな独裁国家になっていないんだから、60年代や70年代よりも現在のほうが希望がもてる状況だとおもいますが、そういうことを誰もいわないのは、そうやって口裏合わせてウソついているようにしか見えませんよ。

ちなみに、スウェーデンも90年代後半は赤字を抱えて景気がわるかったそうですが、そのときに財政赤字削減案として高額所得者への一時的増税処置をやったそうです(藤井威『スウェーデンスペシャル(I)』(新評論)p146)。日本でもこういうことをやるべきじゃないでしょうかねえ。


あと、話は変わって、またも前回の日記の補足です。前回の日記で「他人が無意識にやっている些細な言動」を「ダサイ」「キモイ」といって馬鹿にするという現在の日本社会の風潮というのは、これも突き詰めると80年代後半以降、『宝島』や『週間SPA!』などの雑誌で、人がやっている一挙一動を図表化して、揚げ足をとって馬鹿にする雑誌記事がふえたことが原因とおもえます。

こういう雑誌記事のルーツも『金魂巻』ではないでしょうか。ある類型的な人間のタイプを図解にして「いつも●●をもっている」とか「●●がくちぐせ」などと一々あげて「ダサイ」などとバカにするということは、『金魂巻』で「マルビ」の人間をバカにするときのやり方を踏襲しているとおもえます。

*補足:福祉国家デンマークの雇用政策には、ニート、フリーター問題の解決のヒントがあるようにおもいます。未読のかたはどうぞ。
『現実的な社会変革』(本ブログの過去の日記。)

wandaba2019.hatenablog.com